離婚した親は双方とも子を扶養する義務があります。親には未成熟の子を養育し自分と同程度の生活を保障する義務があります。養育費とは、子供が社会人として自立するまでに必要となる、全ての費用のことを言い、未成年の子の父母が離婚した場合、父又は母のいずれかが親権者となりますが、養育費は、どちらに親権があるかに関係なく、双方が経済力に応じて分担します。
然しながら昨今経済情勢下ではいったん決められた養育費の不払いが大きな問題になっています。同様に、面接交流調停も増えています。
支払期間は子供が社会人として自立する迄です。通常は成人に達するまでですが、昨今では4年制大学に進学するのが珍しくなくなったため大学を卒業するまでとする場合や、病気等の事情で成人後も養育・扶養が必要な場合など、個々の家庭の事情により、異なる期間を定めることができます。未成年者でも結婚すれば成人として扱われますからそれ以上養育費を払い続けることは必要ありませんし、また大学院へ進学したいというのも一般的とはいえませんからそこまで養育費を支払い続けるのも疑問があります。お互いに話し合って決めましょう。
養育費の金額、支払方法については、まず父母の話し合いで決め、話し合いがつかない場合に、裁判所での調停・審判で決めることになります。調停・審判では、父母の財産や収入、子どもの必要生活費など、個々の家庭の事情を考慮して決定しますので、それぞれのケースによって金額は異なります。通常の家庭では、年齢にもよりますが、子供1人あたり月3~5万円程度が多いようです。
父母の話し合による協議で養育費について決める場合は、分担額や支払の方法、支払期間などを具体的に定め、取り決めた事項は、離婚協議書にまとめます。また、これも金銭に関する取り決めは、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておきます。支払いが滞るなど、約束が守られない場合には直ちに強制執行をすることができます。養育費について双方で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをすることになります。離婚の調停中にすることもできますし、養育費のみを請求をすることもできます。調停がまとまらず、不成立に終わった場合は、自動的に審判の手続きが開始し、裁判官の審判によって決せられます。
養育事情に変更があった場合は、決められた養育費の増額、減額、免除を請求することができます。物価水準の変動、子供の学費の増額、医療費の支払いなどにより、養育に必要な費用が増大する場合は増額請求をし、支払う側の親の失業や病気などにより、支払い能力が低下した場合には減額請求をすることができます。また、受け取る側の親が再婚し、再婚した相手と子供が養子縁組をした場合には、養育費の減額又は支払い義務の免除を請求することも可能です。これも、父母の話し合いによる協議が調えばこれに従い、協議が調わない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることができます。